朝日新聞の記事を掲載いたしました

2012年10月13日(土)付の朝日新聞全国版に、横浜業務サポートセンターの記事が掲載されました。

記事の内容は以下の通りです。

オフィスで活躍 発達障害

業務の様子 ホームページ用の広告のデザインをするアスペルガー症候群の女性社員(左)と田村邦彦さん=横浜市

長所を理解し積極採用の企業も

まじめで仕事を正確にこなす。そんな長所に着目し、アスペルガー症候群など発達障害の人を積極的に採用する企業が出てきた。能力を発揮しやすい職場作りも進む。

雑貨・飲食店「アフタヌーンティー」などを展開するサザビーリーグ(本社・東京)は6月、発達障害者を集めたサテライトオフィスを横浜市に新設した。20〜40代の11人と、障害がない社員ら3人が働く。

IT分野で質の高い仕事

勤務は月〜金の午前10時から午後6時まで。関連会社のホームページに新商品の写真を載せたり、閲覧状況を分析したり、ITやウェブに関わる仕事を担う。

同社は、従業員の一定割合以上を障害者とするよう義務づけた障害者雇用促進法に基づき、身体障害者らを雇用してきた。今年に入り、障害者の職業訓練や人材紹介をする会社から、苦手な部分に目配りすれば、IT分野などで質の高い仕事をこなす発達障害者がいると紹介された。

オフィスのリーダー田村邦彦さん(48)は「全員が勤勉で意欲が高い」。アスペルガー症候群の30代男性は、ホームページを作るため、350ページの解説書を1週間で読み、作業マニュアルを作った。大学卒業後に就職したが、対人関係などがうまくいかず、退職。その後、アスペルガー症候群と診断され、発達障害者のための職業訓練を受けてサザビーリーグに入社した。

指示や環境苦手に目配り

職場では、苦手な面に配慮している。発達障害の人は対人関係を結びにくかったり、あいまいな表現を理解することが難しかったりするケースが多い。このため指示は具体的に出し、担当する仕事を細かく分ける。ストレスが高まると雑音が気になる人もいるため、1人で仕事ができるスペースも用意する。約10年前にアスペルガー症候群と診断された30代女性は「サポートしてくれる社員に何でも相談でき、安心できる」。

ソーシャルゲーム大手のグリー(本社・東京)は5月、発達障害者らが働く会社を横浜市に設立した。障害者の雇用を進めるため厚生労働相の認定を受けた特例子会社で、障害者の雇用数を親会社の雇用分として合算できる。

5人でスタートしたが、現在は発達障害者を中心に約20人に。従業員の情報やイベントで回収したアンケートのデータ入力などをしている。

発達障害の人の中には、耳で聞いた情報の理解は苦手だが、目からの情報なら把握しやすい人がいる。このため壁一面に、ホワイトボードのように文字を書けるようにした。中西一統社長は「2、3年のうちに社員を40〜50人に増やしたい」と話す。

雇用増加へ支援態勢必要

障害者の人材紹介をするテンプスタッフフロンティア(本社・東京)によると、国の指導強化を背景に、事務作業ができる身体障害者への求人が求職者数を大きく上回るようになり、発達障害者に関心を向ける企業が出てきた。同社も発達障害者向けにITの訓練カリキュラムを開発、エキスパート育成を計画する。

障害者雇用に詳しい小川浩・大妻女子大教授によると、アスペルガー症候群のような、知的障害のない発達障害者が社会で広く知られるようになったのは、2005年の発達障害者支援法の施行以降だ。企業の障害者の法定雇用率が来春、1.8%から2.0%に引き上げられるため、採用は今後増えると見る。発達障害者の特性は見えにくいことから「企業側は丁寧にフォローしてほしい」と話す。

発達障害者の中には、一般就労を望む人も多い。こうした相談に乗る支援態勢も手厚くしていく必要があると指摘する。

(太田康夫)

発達障害

生まれながらの脳の機能障害が原因とされる。想像力や人とのやりとりに困難がある「広汎(こうはん)性発達障害」、落ち着きがない「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、読み書きや計算といった特定分野が困難な「学習障害(LD)」などをいう。広汎性発達障害のうち知的な遅れがない症状を、高機能自閉症やアスペルガー症候群という。抜群の記憶力や感覚の鋭さで、研究や芸術分野で成功する人もいると言われる。

契約番号: A15-2851